ことぶき教室7月 ~NGO団体 Asflora~

7月7日(木)のことぶき教室は、NGO団体 Asflora代表の佐藤卓司氏を講師にお迎えしてお話をお聞きしました。

Asflora(Instituto Amigos da Floresta Amazônica -アマゾン森林友の協会)は2000年12月にブラジルパラー州ベレン市に、社会公益事業活動団体として、「アマゾン地域の熱帯雨林を知り、活かし、護るために何か役立つことをしたい、人と自然の調和を目指そう」という趣旨のもと、登録、活動を始められたそうです。

現在「環境教育プログラムの実施」「森つくり」「零細家族農業者への支援」などの活動を行なっていらっしゃるそうです。

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近年に入りアマゾン地域の破壊速度は徐々に緩やかになってきているものの、ブラジル宇宙空間研究所(INPRE)によると、一昨年から去年にかけての一年間で、ほぼ三重県と同じ大きさが消失したとされ、前年度比で16%増加しているそうです。森林の質的劣化も進む中、パラー州は2006年より10年間連続で森林喪失面積の首位を占めているそうです。

アマゾン地域における土地利用規制は、8割を森林地として残し、2割のみ農牧地への使用が認められているのですが、農牧場主には非常に厳しい規制であり、結果アマゾン全域の累計20%の森林消失に繋がってしまっているそうです。この生命の宝庫であるアマゾンを政府の力だけでなく、佐藤さんの団体や市民が前向きに取り組んでゆけることが多々あるのではないかということで、活動を進めているそうです。

環境活動の取り組みとして、地元ベネビデス市や近辺の町の学校の基礎教育課程の児童を主な対象にして、森の小道を歩きながら、クルピラやサッシペレレなど伝説の生き物に扮したボランティアの演者さんたちが、学生たちに、森の歴史や、森が感じていること質問形式で尋ね、学生たちに答えてもらうといった環境教育プログラムを年間を通して実施しているそうです。最近では、各種の催事会場からも声がかかり、公演に行くこともあるんだそうです。

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また、以前そこにあった自然林に近い形での森の復元を目指した植樹活動で、混植密植法式による植樹方式を取り入れた活動を行なっているそうです。潜在自然植生研究と世界中の植樹祭の旗振りを続けてこられた宮脇明先生のご指導のもと1992年にブラジル永大木材の敷地内ではじまり、ブラジル永大と三菱商事主催で2004年までの13年間で113ヶ所、15.67ha、437,000本の苗木を植樹。2005年からはAsfloraが主催で、31ヶ所、5.7ha、126,000本の苗木を植樹され、現在までの25年間で各方面からの助成を得ながら、植樹祭を通して、小さな森つくりを子ども達と続けてこれたそうです。この植樹活動を通して、参加される方々の心の中にも、アマゾンを守り育てるという苗木を植え、いつかそれが大きな木となり森を護るための力となることに期待されているそうです。

2007年からは、新たな活動としてサンタバーバラ市の零細農家、開拓地域の農家を対象としたアグロファレストリー支援活動も始められているそうです。焼畑移動耕作は森の消失に繋がり、肥料も各種苗木も零細農家には手が届かないというのが現実だそうで、年間を通してわずかな収穫量しか得られないと、いずれ土地を転売し、つぎの土地をまた焼き払ってという循環を繰り返してしまう。そこで持続可能な森林農業ともいえるアグロフローレスタの導入のお手伝いをして、現状の好転に繋がるようにしていらっしゃるそうです。信頼関係を結ぶのに時間はかかりましたが、現在では地域の方々にとても喜ばれているそうです。今回の講習では、NPOという形での森の再生という貴重なお話を聞くことができました。佐藤さんとAsfloraの今後のご活躍がとても楽しみですね。

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